〜ネイティブ・サン 最後のステージ(1)〜



■宮崎 'イカキン' 健とバカボン 鈴木の新加入■

ネイティブ・サンのラスト・パフォーマンスは2005年6月4日(土)、国立代々木競技場第一体育館で行われた『CROSSOVER JAPAN'05』のステージである。
(注:データ上では、ネイティブ・サン最後のステージは同年8月、高円寺「JIROKICHI」でのネイティブ・サン セッションだが、この時は本田 竹広が体調不良のため、急遽キーボードは吉澤 はじめが代理で出演。いうまでもなくネイティブ・サンは本田 竹広あってのバンドであり、彼なしでは考えられない。ゆえにネイティブ・サンのラスト・ステージは、やはりこの『CROSSOVER JAPAN'05』にすべきだろう)

この時の出演メンバーは本田 竹広(Key)、峰 厚介(Sax)、福村 博(Tb)、宮崎 'イカキン' 健(g)、バカボン 鈴木(b)、村上 寛(ds)の面々、演奏曲は「Savanna Hot Line」「Cool Eyes」「Animal Market」「Super Safari」―以上の4曲となる。

ギターの大出 元信から宮崎 'イカキン' 健、さらにベースの川端 民生からバカボン 鈴木にチェンジされているのは、いうまでもなくこの二人のオリジナル・メンバーがすでに鬼籍に入っていたからだ。因みに宮崎 'イカキン' 健は当時、本田 竹広が率いていたザ・ピュアのギタリストであり、またバカボン 鈴木がここに加わったのは本田 竹広曰く、「バカボンは、なんとなくヒトが良さそうだから」というのが、その理由らしい。

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『CROSSOVER JAPAN'05』のネイティブ・サン

この『CROSSOVER JAPAN'05』の模様は、2枚組のDVD作品(発売元:エイベックス・イオ)として発売されているから、目にした方も多いと思う。
かつて爆発的な人気を誇ったネイティブ・サン、注目のラスト・ステージでの演奏はいかに−と期待してDVDを見ると、これがちょっとがっかりしてしまう。
このDVDでのネイティブ・サンの演奏は、残念ながらこのバンドの魅力の半分も伝えていない。ライブでのネイティブ・サンは、いつになく「燃える」のだが、このステージではなぜか、ぜんぜん「燃えていない」のだ。
(注:この『CROSSOVER JAPAN'05』はそのタイトル通り、むかし人気を誇った様々な懐かしのフュージョン・バンドが出演しているDVDだが、Amazonのレビューによれば購入者からはネイティブ・サンに限らず、ことごとく悪評ばかりが寄せられている。主に多いのはDVDの編集についてのものだが、中には「ロートルの演奏に覇気なし」「かなり期待はずれ」という手厳しい声も)

ここでのステージが盛り上がりに欠けるのは、やはり国立代々木競技場第一体育館というあまりに大きなハコのせいだろうか。
演奏もなんとなく萎縮していて密度が薄く、メリハリが乏しい。レコードに収められた演奏を、そのままなぞって再現しているような印象さえ受けてしまう。
羽目をハズしてばかりいる悪ガキたちが、お行儀良くスーツを着て、お手々をつないで歩いているようなミス・マッチ−といったら良いのか、とにかく演奏が定形化されていて、おもしろくないのだ。
ネイティブ・サンのライブやコンサートを数々目にして、このバンドの音楽的なハプニングに富んだ、素晴らしいパフォーマンスを知っているだけに「ネイティブ・サン最後のステージ」という、悲しくも特別な意味合いを持つ、この記念のイベントが不調に終わってしまったのを、筆者は非常に残念に思う。

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■イベントをめぐる陰のドタバタ劇■

と、ここまで『CROSSOVER JAPAN'05』におけるネイティブ・サンの演奏に、デカイ態度で文句ばかり書いてきた筆者だが、ここからは急にヘナっと腰砕け状態となってしまうのである。
こっそりと申し上げよう。
『CROSSOVER JAPAN'05』でネイティブ・サンが不調なのは、もしかしたら筆者のせいかも知れないのだ。
さっき「レコードに収められた演奏を、そのままなぞって再現しているような」と書いたが、そんな出来上がりになってしまった原因も、筆者にあるのかも。。。。。

そう、この『CROSSOVER JAPAN'05』というイベント、大きな声ではいえないが、実は筆者もかなり遠いところで、ほんの少しだけだが関わっていたのだ。

以下は『CROSSOVER JAPAN'05』をめぐる筆者の、ちょっとしたドタバタ劇の顛末である。


 以下、〜ネイティブ・サン 最後のステージ(2)〜へ続く