ライブ盤『COAST TO COAST』の次作『SHINING』のタイトル曲「SHINING」で、バンドは初めてラテン/レゲエに挑戦している。ここで何かのヒントを得たメンバーは、次作『RESORT』でバハマはナッソーに飛び、本格的なレゲエ・ミュージックに挑むことになる。
その結果はどうか。初期のバンドが持っていたジャズ的なダイナミズムとパワーは薄れ、ゆったりとしたレゲエのリズムをバックに、気持ちよさそうに演奏するメンバーたちに、多くのリスナーは奇妙なズレを感じたのではなかったか。
当時は私もその一人だった。『Savanna Hot-Line』と『RESORT』が、同じバンドの音楽とは思えない。
かすかにネイティブ・サンらしさが出ているトラックといえば、A面1曲目の『BAY
STREET TALKIN' 』と2曲目の『 NITE OF LIMBO
』くらいか。
以下のトラック、特に『RESORT』のレコードでいえばB面収録の全曲からは、初期のバンドにあった熱気と狂おしいエネルギー、ハードボイルドな魅力がほとんど感じられなかったのを覚えている。
こうして意図の下、選曲されたのはロン・カーター、トニー・ウイリアムスのトリオで録音した77年のアルバム『ANOTHER
DEPARTURE』から「Calipso Street」「Longing」、また同トリオとのアルバム『REACHING
FOR HEAVEN』からの「Lazy Dream」となる。
それにネイティブ・サンとしては異色ともいえる、ソロ・ピアノでの本田
竹広の新曲「Gumbo」を書き下ろし、これをタイトル曲にしたのも「これはネイティブ・サンによるジャズ作品ですよ」と宣言したかったからかも知れない。
(注:この『GUMBO』収録の「Longing」は、1990年の本田
竹広トリオによる『BACK ON MY FINGERS』では、逆にアコースティックなジャズ作品として再演されている)