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世界最大のジャズ・イベント、モントルー・ジャズ・フェスティバルの完全ガイド・サイトです。

モントルー・ノートHEADLINE

~ライブ・レコーディングによるPR大作戦~


モントルー・ジャズ・フェスティバルを成功に導いたのは確かにプロデューサー、クロード・ノブスの力量もあったからでしょうが、最大の功労者、いや功労盤と言った方が良いかも知れませんが、何といってもビル・エバンスの『アット・モントルー・ジャズ・フェスティバル』を挙げないわけにはいきません。

この68年に発売されたトリオによる演奏、そしてレコード・ジャケットに写っているシオン城こそが、モントルー・ジャズ・フェスティバルというイヴェントの持つキャラクターを世界中のジャズ・ファンに強く印象付けたと言っても過言ではないと思います。

それにしても、このビル・エバンスの『アット・モントルー・ジャズ・フェスティバル』ほど、音源・ジャケットも含めて”モントルー・ジャズ・フェスティバル”というイヴェントのキャラクターと一体化されたアルバムは他にないでしょう。

しかも、このビル・エバンストリオのレコード、音質が抜群に良いときています。
今でも録音エンジニア等は、このビル・エバンスのモントルー盤をチェックに使う人が少なくありません。

いや、これに限らず、その後モントルーで録音・発売されたレコードはどういうわけか、音質が良いものが多いのです。
レイ・ブライアント、ジョージ・アダムス=ドン・ピューレンバンド、マリーナ・ショウ、ミルト・ジャクソン=レイ・ブラウン、モンティ・アレキサンダー、ゴンサロ・ルバルカバ、そして最近ではマイルスの超弩級20枚組コンプリート・ボックス物と、枚挙にいとまがありません。


今、様々なミュージシャンの名前を列挙しましたが、このビル・エバンス以降、いろいろな人たちがここモントルーを舞台に秀作を残していくことになります。
特にパブロ・レーベルを主催するノーマン・グランツは、これでもか的に次から次へとモントルー・ライブ盤を製作していくのでした。

そしてモントルーのライブ盤は大概演奏内容が良い、しかも音が良い(例外もありますが)ということで、世界中のジャズ・ファンに「モントルー物の音源は間違いない」というステータスを確立、それがますますモントルー・ジャズ・フェスティバルの名声を高めていくという好結果を生み出すことになりました。

そしてこれこそが、他のジャズ・フェスとモントルー・ジャズ・フェスティバルとの決定的な違いではないでしょうか。

現在、モントルー以外にも世界中で様々なジャズ・フェスの音源がレコーディングされ発売されています。
しかしそういった秀作ライブ盤は最終的にバンドやミュージシャンの持つ演奏内容の優劣が全てであり、ジャズ・フェスティバルというイヴェントそのものの魅力とカラーをダイレクトに反映したものではないように思うのです。

実際、他の国のジャズ・フェスティバルもこのモントルー盤の成功を横目で見つつ、どんどんレコーディング・アルバムを世に出していく事になります。
しかしアルバムを掛けるとふんわりとリゾートの匂いが漂ってくるという仕掛け、音楽と一緒に”土地の雰囲気”もそのままパッケージするというその演出ぶりはモントルー盤に到底敵いません。(モントルー盤は、コンサート中のMCもそのまま収録されているものが多い)

常にレコード会社と綿密な関係を持ち、自らのフェスティバルの音源をこまめにレコーディングしながら、なおかつイヴェントのカラーや雰囲気も一緒にパッケージして世に送リ出すというシステムをいち早く確立したところにモントルー・ジャズ・フェスの凄いところがあるのです。

今思い起こすと、これはモントルー・ジャズ・フェスティバルのプロデューサー、クロード・ノブスの戦略だったのかなともチラッと思ったりします。


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