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モントルー・ノートHEADLINE

レマン湖の海賊たち~



先程、モントルーでのライブ盤の話をしましたが、実はモントルー・ジャズ・フェスティバルほど、ブート盤(海賊盤)が頻繁に出るイヴェントもありません。やはり公式盤で得たステータスゆえでしょうか。
こう頻繁に出るところをみると、やはり商売になるのでしょう?
しかもモントルーの流出ブートは、私の経験からいってもかなり音質の良いブツが多いのです。
中にはサウンドボード録音としか思えないものまであります。
........という事はスタッフ関係者に犯人がいるというわけで、う~ん、どうなっているのでしょう?

私は今回、メイン会場でのコンサートは聴きませんでしたが、おそらく今夜も超人気ミュージシャンが出演するストラビンスキー・ホール(お隣のマイルス・デイヴィスホールは、どちらかといえば小規模なライブをやっているようです)では、隠しマイクを仕込んだブート製作目的のブートレガーやサウンド・ハンター達がうようよといるはず.....? 
しかもサウンドボードの近くにはマスター・テープを持ち出して、コピーするの目論んでいるスタッフ関係者もいるはず.....? 
そしてその音源は2、3週間後には新宿西口のブート屋さんの店頭に並んでいるかも。

ともあれ、様々な思惑を秘めつつ、モントルーの夜は更けていくのです。


ところで以前、発売されたマイルス・デイヴィスの超弩級のライブ盤『the complete miles davis at montreux box』(warner music) の話をちょこっとしましょう。
このアルバム、なんと20枚組、しかもモントルー・ジャズ・フェスティバルにおけるマイルス・デイヴィスバンドの演奏を年代別に全て収録しているという、ファン感涙の作品です。

私はこれが発売された時、うれしい気持ちと悔しい気持ちが交錯して複雑な気持ちになりました。
こっそり言いますけど、私はこの20枚組に収められている演奏の半分くらいは、すでに様々なルートを通してブート盤として持っていたからです。
つまり新譜として私が聴けるのは20枚組の半分、10枚だけという事になります。そしてこの20枚組が発売されたことによって、私がこれまで宝のように持っていたモントルーのブート、まったく意味を持たないものに成り果ててしまったのでした。
まあ、ブートなるものに手を出した私が全て悪いのですけど....トホホ。

言い訳になるかも知れませんが、なぜ私がこうしたブートを集めていたかと申しますと、ケイ 赤城のマイルス・デイヴィスバンドにおけるプレイは公式盤ではほとんど聴けず、こうしたブートでしか接することが出来なかったからなのです。

もうひとつ、このマイルスの『the complete miles davis at montreux box』(warner music)には、こんな話があります。
このアルバム、発売されたのはファンにとってはうれしい限りですが、リリースに際してはマイルス以外にサイドメンとして参加した全てのミュージシャンには、一銭もお金がレコード会社から支払われなかったという事です。
つまりアルバムを発売して儲けたのはレコード会社と、亡くなったマイルスの音源に取り巻く金亡者の連中ばかりというわけです。

これにはさすがに参加ミュージシャンも頭にきて「このライブ盤に参加したミュージシャン一同を集めて、裁判を起こそう!」というところまでいったらしい。
ところが土壇場で「まあ裁判起こすと膨大なお金を弁護士に払わなければいけないし、何年掛かるか分からないし....」ということで立ち消えになったのでした。
「まあマイルスの音源だから、しゃあないか」という雰囲気もあったのかも知れません。
ともあれ、このボックス20枚組、リスナーにとっては感涙もの、マイルス以外の参加ミュージシャンにとっては悔し涙にくれるという、隠れエピソードも持ったアルバムなのでした。
ということはこのボックス物、オフィシャル・レコード会社作った海賊盤といえるかも知れませんね。(笑)

おっと話が脱線してしまいました。
次回のページではモントルー・ジャズ・フェスティバルの楽しみ方について書いてみましょう。




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